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走査プローブ顕微鏡ガイド - カンチレバーの選択 -

  • このページでは、走査プローブ顕微鏡による測定で試料をスキャンする探針であるカンチレバーの性質と、その選択について説明しています。

    走査プローブ顕微鏡では、カンチレバーの先端にある微細な探針を試料表面にアプローチし、コンタクトモードの場合は探針が試料から押されることで生まれるたわみ、ダイナミックモードの場合はカンチレバーの振動を元に形状を測定します。測定においてどのようなカンチレバーを使用するかはデータに直結するため、非常に重要です。カンチレバーは各メーカーから非常に多くの種類が販売されているため、その形状やパラメーターを把握して選択する必要があります。

1. バネ定数

カンチレバーは、短冊形または中抜き三角形型の形状をしている場合がほとんどで、材質はシリコンまたは窒化シリコン製です。試料が先端の探針部分に当たると、その力によってカンチレバーにたわみが発生します。カンチレバーの材質が柔らかい(主に窒化シリコン製)または幅が狭く長さが長い場合は小さな力でたわみが発生するため、表面への負荷が小さくなります。反面、凹凸への追従性が悪くなるため、スキャン速度を調節する必要があります。また、静電気等の影響が大きくなるため、測定が難しくなる場合があります。

カンチレバーの硬さはバネ定数(N/m)という値で表記され、探針先端を1nm押し込んだ際に先端にかかる力(nN)を示しています。バネ定数が小さいほど柔らかい表面でも表面を傷つけずに測定可能なカンチレバーになります。バネ定数が大きなカンチレバーは固い表面であれば表面への追従性が高く、安定して測定が可能です。

Cantilever.jpg
カンチレバーの形状とパラメーター

2. 先端半径

カンチレバーの探針は非常に尖った先端を持っており、先端を球に見立てた先端半径で評価されます。一般的なカンチレバーは先端半径が10nm前後のことが多いですが、より小さな凹凸を検出できるような先端半径が2~5nm程度のシャープ探針もあります。シャープ探針は10nm以下程度の細かな形状をなるべく正確に測定したい場合に使用します。

3. 先端形状

カンチレバーの探針先端は一般的に三角錐の形状をしています。探針の角度より急な凹凸や、探針より狭く深い溝等には先端が入ることができず、正確な形状が出ないため、探針をより尖った形状にする必要があります。このような形状に対応するためには、探針の高さに対して幅が小さいハイアスペクト探針や、カーボンナノチューブを先端に取り付けた探針などが販売されています。

4. 測定する物性に応じた選択

走査プローブ顕微鏡はいろいろな物性測定モードを持っていることが多いため、それに合わせたカンチレバーの用意が必要な場合があります。電流測定や表面電位測定では、カンチレバーに導電性を持たせる必要があるため、プラチナや金でコートされたカンチレバーを使用します。ナノ3Dマッピング等の表面の硬さを調べる測定では、カンチレバーが材料表面に押し込まれる程度の硬さを持っている必要があるため、正確な測定にはバネ定数を調整する必要があります。